床の張り替えは、住まいを新しくする大きな楽しみの一つですが、修繕費に関して思わぬ落とし穴にはまってしまうケースも少なくありません。事前の確認不足や予期せぬトラブルにより、当初の予算を大幅にオーバーしてしまうこともあります。このコラムでは、床の張り替え修繕費における「思わぬ落とし穴」に焦点を当て、それを回避するための知っておくべきポイントを解説します。まず、最も多い落とし穴の一つが「下地の劣化」です。既存の床材を剥がしてみると、その下の根太(ねだ)や合板が腐食していたり、シロアリの被害に遭っていたりするケースがあります。これは、長年の湿気や水漏れ、あるいは建物の経年劣化によって生じるもので、見た目では判断が難しいことが多いです。下地が劣化している場合、新しい床材を張る前に、必ず補強や交換といった下地調整工事が必要となり、その費用が追加で発生します。この費用は、数万円から数十万円にもなることがあり、予算を圧迫する大きな要因となり得ます。次に、「アスベスト含有建材」の存在です。特に築年数の古い建物の場合、既存の床材やその下地にアスベストを含んだ建材が使用されている可能性があります。アスベストは健康被害を引き起こすため、除去には専門的な知識と技術、そして厳重な安全管理が求められます。そのため、アスベストが含まれていることが判明した場合、通常の撤去費用に加えて、高額なアスベスト除去費用が別途発生します。これは、数十万円から百万円以上かかることもあり、リフォーム費用に大きな影響を与えます。さらに、「家具の移動費用」も見落としがちな落とし穴です。床の張り替え工事を行うには、部屋にある全ての家具を移動させる必要があります。大きな家具や重い家具が多い場合、その移動作業に人手や時間がかかり、別途費用が発生することがあります。ご自身で移動できる範囲であれば良いのですが、難しい場合は事前に業者に確認し、見積もりに含めてもらうようにしましょう。「管理規約違反による追加費用」も、マンションでのリフォームにおいては特に注意が必要です。マンションでは、フローリングの張り替えに関する防音規定(遮音等級L値など)が管理規約で定められていることが一般的です。もし、規約に違反する床材を選んでしまった場合、後からやり直しや追加の防音工事が必要となり、余計な費用が発生してしまいます。
床張替え修繕費の思わぬ落とし穴