壁紙の張り替えは、部屋の印象を大きく変える効果的なリフォーム手法です。しかし、DIYで挑戦するにしても、業者に依頼するにしても、プロの視点から見ると、多くの人が見落としがちな「盲点」が存在します。このコラムでは、長年壁紙リフォームに携わってきた専門家の経験に基づき、壁紙張り替えの際に特に注意すべき点を第三者目線で解説します。まず、多くの人が見落としがちなのが「下地の状態」です。古い壁紙を剥がした後、壁面には古い糊の跡や小さな穴、凹凸などが残っていることがあります。これらを十分に処理せずに新しい壁紙を貼ってしまうと、時間の経過とともに浮きやシワ、凹凸が表面に現れてしまい、せっかくの新しい壁紙も台無しになってしまいます。プロは、糊の除去、パテ処理、サンドペーパーでの平滑化といった下地処理に最も時間をかけ、妥協しません。特に、水漏れによるシミやカビがある場合は、適切な防カビ処理を施さなければ、新しい壁紙にもカビが再発するリスクがあるため注意が必要です。次に、「見切り部分の処理」も盲点となりやすい点です。壁と天井の境目、壁と床の境目、ドア枠や窓枠の周囲など、異なる素材が接する部分は、特に丁寧な処理が求められます。これらの部分の処理が甘いと、隙間が生じたり、壁紙の端が浮いてきたりする原因となります。プロは、これらの見切り部分にコーキング材を適切に充填したり、専用のモールディング材を使用したりすることで、隙間なく美しい仕上がりを実現します。DIYで挑戦する際は、これらの細かい部分への配慮が、仕上がりの質を大きく左右します。また、「換気と乾燥」の重要性も、見過ごされがちな盲点です。壁紙を貼った後、糊が完全に乾燥するまでには、十分な換気が必要です。特に梅雨時期や冬場など、湿気が多い時期は乾燥に時間がかかります。換気が不十分だと、糊が完全に乾燥せず、壁紙の浮きやカビの原因となることがあります。プロは、工事期間中に適切な換気を促し、壁紙がしっかりと壁に密着するまで、環境管理にも気を配ります。最後に、「コンセントやスイッチ周りの処理」も盲点の一つです。多くの人は、これらのカバーを外さずに壁紙を貼ろうとしますが、それでは切り口がきれいにならず、後々浮いてくる原因となります。プロは、必ず事前にカバーを外し、壁紙を貼ってから、カッターで丁寧に開口部を切り抜き、最後にカバーを取り付けます。