市営住宅での暮らしの中で、特に古さや使い勝手の悪さが気になりやすいのが、お風呂、キッチン、トイレといった「水回り」の設備です。毎日使う場所だからこそ、リフォームして快適にしたいというニーズは非常に高いですが、水回りは配管などが建物の躯体に深く関わっているため、どこまで手を入れて良いのか、その判断は特に慎重に行われます。まず、「お風呂」のリフォームについてです。最も多い相談が、古い「バランス釜」の浴槽から、壁掛け式の給湯器を使った、いわゆる「ホールインワン型」の浴槽への交換です。これは、浴槽のサイズ自体は大きく変わらず、ガス配管の工事も比較的容易なため、老朽化が進んでいる場合は許可が下りやすいリフォームの一つです。浴槽がひび割れている、お湯の温度が安定しない、といった具体的な支障を訴えることがポイントです。ただし、浴室全体を解体して、最新のユニットバスに入れ替える、といった大規模な工事は、防水層や躯体に影響するため、原則として難しいと考えた方が良いでしょう。次に、「キッチン」です。古くなったブロックキッチン(流し台、コンロ台などが分かれているタイプ)を、新しいものに交換することは、給排水の位置を変更しない限り、比較的認められやすいです。しかし、これもあくまで同程度のグレードのものへの交換が基本です。食洗機付きの最新システムキッチンにしたい、といった自己都合でのグレードアップは、全額自己負担となり、かつ許可が必要になります。壁付けキッチンを、壁を壊して対面キッチンにする、といった間取りの変更を伴うリフォームは、まず許可されません。最後に、「トイレ」です。和式トイレから洋式トイレへの変更は、高齢者の転倒防止など、バリアフリーの観点から、自治体もその必要性を認識しており、最も許可が出やすいリフォームの代表例と言えます。ただし、この場合も、排水管の位置(床排水か壁排水か)など、構造上の制約を確認する必要があります。水回りのリフォームは、単に「古くて気に入らないから」という理由だけでは、なかなか許可は下りません。「老朽化によって、安全・衛生的な生活に支障が出ている」という点を、具体的に示すことが、交渉の鍵となります。